年2回更新のコラムです。今回は私が運送業界に入って初めて知った言葉の解説をしていこうと思います。
・タリフってなに?
初めて聞いた人も多い“タリフ”、Tariffという英単語のことです。辞書で調べると①関税・関税表・関税率、②料金表という意味で使うようです。経済や貿易、政治などで使う①の意味が基本ですが、物流業界では基本運賃率表としての料金表という②の意味で使います。日本語で“料金表/運賃表”と言えばいいと思うのですがどうしてなのでしょう?
・なぜタリフという言葉を使うのか?
運賃表ではなく、タリフと呼ぶ理由を調べてみましょう。このような時に生成AIは非常に有効です。勝手に調べてくれますからね。(鵜吞みにするのは信憑性の部分からやめましょう) 『物流業界で運賃表を「タリフ」と呼ぶ理由は①Tariff がもともと「料金表」を意味する英語だから、②国際物流で英語がそのまま使われた、③日本の制度上の「標準運賃表」を指す専門用語として定着した、という歴史的・実務的な背景があるためです。』う~ん、これでは納得できないですね。
そこでTariffの①の意味から考えてみます。輸入したモノ・重さ・総額など一定の基準ごとに関税をかけ、それらを見やすく表にしたものが関税表です。物流業界の運賃は運ぶ手段(トラック・船舶・航空機など)×運ぶ重量×運ぶ距離で出すので、関税表と運賃表の見た目が似ていることからタリフと呼ぶようになったのかもしれませんね。
さてタリフが運賃表ということが分かったので具体的にトラックの運賃表を見ていこうと思います。
・タリフのみかた
荷主と運送会社で取り決められるタリフはその当事者ごとに違うことがほとんどです。運ぶ荷物が異なるからですね。“2024年問題”を契機に政府が健全な事業運営を目的に標準的な運賃の見直しを行いました。今回はこちらを使用してタリフを見ていきましょう。(当社のある関東運輸局基準で見ていきます。一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃(令和6年3月告示) | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association)
①距離制運賃と時間制運賃
積み地から納め地までの距離に応じて求める距離制運賃と一定時間において運賃を求める時間制運賃があります。一般的には距離制運賃を用いていますが、同じところを複数回往復する場合などは時間制運賃を用いている場合もあります。
②割増運賃
先ほどの基本料金に加える形になるのが割増運賃です。速達便や冷蔵車などの特殊車両指定、休日運賃や深夜運賃などが該当します。人員不足や車両不足で対応できる運送会社が年々減少している状況です。
③積込料ほか
運転手が一つずつ荷物を載せる、フォークリフトを使用して自分で載せる場合にかかる料金です。大型トラックやコンテナ車に手積みすると数時間かかる場合もあります。
④その他
高速料金やフェリー代金も別途請求することになります。最近は燃料サーチャージも増えてきました。
国土交通省が出しているリーフレットはこちら(202410unchin.pdf)
・終わりに
今回はタリフについて触れてきました。当たり前に使っていてもその業界でのみ使われる用語はたくさんあります。それらを把握し、わかりやすい言葉に置き換えることが商談や新人教育に必要です。せっかくの年末ですし、自分たちしかわからない用語が無いか振り返ってみてはいかがでしょうか。
*次回のコラムは5月末を予定しております。


